【臨床検査】マグネシウム(Mg)について現役臨床検査技師が徹底解説します

みなさんこんにちは!

「Webサイトエンジニア」×「臨床検査技師」のハイブリットおじさんこと、ウエノです。

Webサイトエンジニアではありますが、現役で臨床検査技師を15年しています。

今回は検査でよく測定される「マグネシウム(Mg)」について徹底解説します。

このブログは一般の方が見ても、同業の臨床検査技師が見ても有益となるように、わかりやすくも専門的な知識を散りばめ「超勉強になった!」と感じてもらえることを目的に設計しています。

そしてみなさんがこのブログで得た知識を周りの方々に語り、ドヤ顔をしてもらえれば本望であり、ブログを書いている僕としてもこの上なく嬉しいです。

では、マグネシウムについて解説していきます。どうぞっ!

【マグネシウム(Mg)】とは

マグネシウム(Mg)とはカルシウム、リンに次いで3番目に多いミネラル成分であり、その60%ほどが骨に存在しています。

カルシウムとリンは骨中ではヒドロキシアパタイトを形成し骨の強度に関与していますが、マグネシウムはこのハイドロキシアパタイトの結晶構造においてカルシウム吸収のバランスを調整し、骨の強度と柔軟性制御に関与しています。

マグネシウムに関連性が高いカルシウムと無機リンについては以下のブログで解説していますので、もしまだであれば併せてどうぞ。

カルシウム(Ca)について一般の方が見ても、臨床検査技師が見ても有益となるように網羅的にどこよりもわかりやすく解説します。実務で携わっているからこそよりリアルで、より詳しく解説できます。ここで得た知識をぜひまわりの方々に語りドヤ顔してくださいね。

無機リン(IP)について一般の方が見ても、臨床検査技師が見ても有益となるように網羅的にどこよりもわかりやすく解説します。実務で携わっているからこそよりリアルで、より詳しく解説できます。ここで得た知識をぜひまわりの方々に語りドヤ顔してくださいね。

マグネシウムはカルシウムと無機リンと同じような代謝経路を取り、食事から摂取されて小腸で活性型ビタミンDのサポートによって吸収されます。

そして過剰分の2/3は糞便中に、残りの1/3は腎臓から尿中に排泄され、そのうち90%は尿細管にて再吸収されます。

再吸収でいえば、小腸で吸収されなかった分は大腸に運ばれ糞便中に排泄されるわけですが、10%くらいは再吸収されます。

マグネシウムの摂取量などが低下し血中マグネシウム濃度が低くなると、カルシウムや無機リンのように骨から溶け出し血中に補充されます。

マグネシウムの働きは主に前述した骨関連ですが、その他にも補酵素としてまたは活性中心として300種類以上の酵素の働きに関与していたり、筋肉の収縮に関与していたりと様々なところで活躍しています。

そんな多彩な働きを担うマグネシウムですので、不足したり、過剰になってしまうと何かと身体に不都合が生じます。

例えば、血中マグネシウム濃度が低下すると骨を溶かして血中に供給しますので、その分骨が脆くなり骨粗鬆症のリスクが高くなったり、筋肉の収縮が上手くいかなくなりテタニー(痙攣)や心疾患を起こしたりとその影響は甚大です。

逆に血中マグネシウム濃度が高くなるとどんなことが起きるのか。

こちらもやはり心疾患、特に心停止を引き起こすことがあります。

マグネシウムは筋肉の収縮に関連深くそれは心筋でも例外ではなく、心臓のリズムの維持に重要であって不足しても過剰に存在していてもそのバランスが崩れるため心機能に大きな影響を及ぼします。

ところで、ダイエットや便秘などに効果があるといわれて市販されている「にがり」の主成分は塩化マグネシウムであり、過剰に摂取すると下痢を起こすことはご存知でしょうか。

マグネシウムには腸管の筋肉の収縮や運動性を調節する働きもあり、過剰なマグネシウム摂取は腸管の運動性を亢進させ、腸の内容物が速く蠕動することで排便が促進されます。

この結果、腸内の食物や水分が通過する時間が短くなり下痢を起こすことがあります。

しかしながら適量ならば排便を促進する効果がありますので、よく便秘薬に利用されています。

機会があれば成分を確認してみてください。

またマグネシウムは運動時やプールなどで「足がつった」時や「こむら返り」の時にも関与しています。

こむら返りというのは、「ふくらはぎ」を「腓(こむら)」といい、この部分がつった時をいいます。

この現象は発汗によってマグネシウムが多く失われた時に筋収縮に必要な成分のバランスが崩れるために起きます。

その筋収縮に必要な成分と言うのが「マグネシウム」と「カルシウム」なのです。

具体的には、マグネシウムは筋肉を弛緩、カルシウムは逆に収縮させる働きをします。

マグネシウムは発汗によってカルシウムよりも多く失われ、筋収縮が過剰に起きるために足がつったり、こむら返りが起きるのです。

ですので、足がつったりこむら返りが起きたら「マグネシウムが足りていない」ということを思い出してくださいね。

【マグネシウム(Mg)】の基準範囲

マグネシウムの基準範囲は1.6 mg/dL ~ 2.1m g/dLです。

マグネシウムには性差はありませんので、男女共通の基準範囲となります。

※基準範囲は施設や文献によって多少前後します。これはそれぞれの機関がそれぞれの条件で、それぞれの母集団から得られたデータから導き出したものを使用しているためであり、多少バラつきがあります。

【マグネシウム(Mg)】の臨床的意義

なぜマグネシウムを検査するのでしょうか。

それは主に全身状態の把握です。

マグネシウムの作用は多岐に渡るため、関連性の高いカルシウムや無機リンと一緒に測定してバランスを見ます。

そこから骨の状態や筋肉、腎の状態を把握するのに有用です。

マグネシウム1つで診断に確信を持てるような病態はないので、他の検査項目と併せて使われることが一般的です。

【マグネシウム(Mg)】が高値を示す状態・疾患

マグネシウムが高値を示す状態・疾患として代表的なものは、腎不全による尿中への排泄障害です。

また、制酸薬(胃薬)などのマグネシウム含有薬剤の長期投与でも高値となることがあります。

マグネシウムは筋肉の収縮に関与し、高値でも低値でもバランスが崩れるとその機能が損なわれるため、特に心機能に甚大な影響を与えます。

軽度上昇(~6.0mg/dL)くらいでは徐脈や低血圧になり、中等度上昇(~12.0mg/dL)にもなると心電図にも変化が現れ、PR間隔延長、QRS間隔延長、QT時間延長など目に見えて心機能が悪くなります。

このとき全身状態にも影響が現れ、傾眠状態や昏睡を起こします。

そして高度上昇(12.0mg/dL以上)ともなるとついに心臓は止まり心停止を起こしたり、呼吸筋が麻痺を起こし呼吸が止まったりもします。

高マグネシウム血症はかなり稀なケースですが、その影響は甚大ですのでうっかり検査データを見落としていたりすると大変なことになりますので、注意が必要です。

【マグネシウム(Mg)】が低値を示す状態・疾患

マグネシウムが低値を示す状態・疾患として代表的なものは、何らかの理由で体外への排泄が亢進している状態です。

例えば、一般的に血中マグネシウムが低下する状態といえば大量飲酒後やアルコール依存症、長引く下痢の場合です。

アルコールを飲むと食事の摂取は比較的少量になりますのでそもそも摂取不足となり、水分過多やアルコールの効果によって利尿作用が働き、尿の排泄量が増加しマグネシウムもどんどん排泄されていきます。

長引く下痢では、便中にもマグネシウムは排泄されますので長続きするほど失われていきます。

また血中マグネシウム濃度が低下すると骨を溶かして血中に供給しますので、その分骨が脆くなり骨粗鬆症のリスクが高くなったり、筋肉の収縮が上手くいかなくなりテタニー(痙攣)や不整脈などの心疾患を起こしたりと、その影響はやはり甚大です。

身体の状況とは別件ですが、キレートによる脱カルシウム作用という理由で極低値になることもあります。

これは検査の手技的な内容です。

検査する項目によって採血管が違い、マグネシウムのような生化学検査では、血液を固めて遠心して得られた血清を使用しますので「分離剤入り採血管」というものを使用します。

赤血球数や白血球数、凝固時間を見る検査では「抗凝固剤」というものが添加された血液を固めないで検査する採血管を使用します。

抗凝固剤の作用の1つに「キレート作用」というものがあり、キレート(金属イオンを結合させて別の物質に変えてしまう)によってアルカリ土類金属であるマグネシウムを血液中から除去してしまう働きがあります。

採血して生化学の血液量が足りなかったからといって、このような抗凝固剤入りの採血管から生化学の採血管に血液を追加してしまったがために、検査したらマグネシウム値がゼロだった、なんてことも稀にあります。

特に研修医にありがちな事例ですので気を付けましょう。

【マグネシウム(Mg)】の生理的変動

マグネシウムには生理的変動などは特にありません。

【マグネシウム(Mg)】の検査について ※臨床検査技師向け

マグネシウムについてはこれまでの解説で一通り済みましたので、次からはマグネシウムの検査について臨床検査技師向けに専門的な知識や検査に影響を及ぼす要因について解説していきます。

一般の方でも知見を広げる意味で、ご興味があればどうぞ!

マグネシウムの主な測定法には、国家試験的には比色法であるキシリジンブルー法やチタンブルー法ですが、現場では一切使われていないと考えてもらって結構です。

基本的には酵素法が用いられていますのでその紹介をします。

検体と試薬を混合すると、試薬中のイソクエン酸は検体中のマグネシウムによって活性化されたイソクエン酸脱水素酵素(ICDH)の作用により、β-ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチドリン酸酸化型(β-NADP)の存在下で酸化され、α-ケトグルタル酸(α-KG)となります。

このとき、β-NADPは還元されてβ-ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチドリン酸還元型(β-NADPH)となります。

この反応速度Mgの濃度に比例するため、β-NADPHの生成に伴う吸光度の増加速度を測定することによりMg濃度を求めることができます。

マグネシウム酵素法の反応図

溶血、乳び、黄疸による色の影響、測定に干渉する物質等は特にありません。

ただし、ヘパリン以外の各種抗凝固剤にはキレート作用がありますので、混入すると測定値が極低値となります。

【マグネシウム(Mg)】のまとめ ※さくっとまとめて見れる一覧表付き

ここまでマグネシウムについて1つ1つ網羅的に解説してきましたので、あとはみなさんがご自身のメモリ(脳)にインプットするだけです。

インプットしたら今度はアウトプットしましょう。

周りの方々に最高のドヤ顔で語っていただき、知識をばら撒くと同時にご自身の理解度確認も行ってみてください。

忘れている、理解できていなかったところがあればまたこのブログに戻ってきて、もう一度熟読してみてください。

足りないことがあれば、ぜひお気軽に僕にご連絡ください。

Twitterからでもお問い合わせからでも何でも良いです。

答えをお返しすると同時に必要であればブログに追記しますので、次に閲覧される方々にさらなる情報をばら撒くことができるようになります。

ぜひともご協力いただければ嬉しいです!

また、さくっと確認したいときにまとめて見れる一覧表を下に作成しました。

ぜひご活用ください。

【マグネシウム(Mg)】まとめ
マグネシウムとは カルシウム、リンに次いで3番目に多いミネラル成分であり、その60%ほどが骨に存在
役割 骨の強度と柔軟性制御、酵素の働きをサポート、筋肉の収縮
臨床的意義 主に全身状態の把握
基準範囲 1.6mg/dL ~ 2.1mg/dL
測定法 酵素法
高値を示す状態・疾患 腎不全、マグネシウム含有薬剤の過剰・長期投与
低値を示す状態・疾患 アルコール依存症、長期の下痢
生理的変動 特になし
干渉物質 ヘパリンを除く抗凝固剤の混入で極低値

最後に臨床検査技師のみなさん、今の年収には満足していますか?

次のブログでは臨床検査技師における稼ぎ方をご紹介しています。

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このブログがみなさまのお役に立てれば幸いです。

最後まで、ご閲覧いただきありがとうございました。

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