【臨床検査】クレアチニン(CRE)について現役臨床検査技師が徹底解説します

みなさんこんにちは!

「Webサイトエンジニア」×「臨床検査技師」のハイブリットおじさんこと、ウエノです。

Webサイトエンジニアではありますが、現役で臨床検査技師を15年しています。

今回は検査でよく測定される「クレアチニン(CRE)」について徹底解説します。

このブログは一般の方が見ても、同業の臨床検査技師が見ても有益となるように、わかりやすくも専門的な知識を散りばめ「超勉強になった!」と感じてもらえることを目的に設計しています。

そしてみなさんがこのブログで得た知識を周りの方々に語り、ドヤ顔をしてもらえれば本望であり、ブログを書いている僕としてもこの上なく嬉しいです。

では、クレアチニンについて解説していきます。どうぞっ!

【クレアチニン(CRE)】とは

クレアチニン(CRE)とは筋運動の代謝産物であり、腎機能評価の指標となる物質です。

筋運動と腎機能ではまったく関係がないように感じられますが、クレアチニンの代謝経路においてはこの2つが大切なポイントとなります。

まず筋肉中ではクレアチニンと似たような名前の「クレアチン」と、「クレアチンリン酸」という物質がエネルギーの産生と貯蔵を相互的に行っています。

エネルギーというのはATP(アデノシン三リン酸)のことであり、生物の授業でも出てきた物質ですね。

このATPがエネルギーとして消費されるとリン酸が1つ外れてADP(アデノシン二リン酸)という物質になり、エネルギー放出準備状態となります。

筋肉は運動時に大量にエネルギーを消費しますので、運動していない安静状態の時にクレアチンとATPからクレアチンリン酸というエネルギー貯蔵物質になってスタンバイします。

そしていざ運動が起きてエネルギーが必要となったときに、クレアチンリン酸がADPにリン酸を1つ渡してADPがATPになり、エネルギーとして消費されます。

一方、リン酸を1つ失ったクレアチンリン酸はクレアチンになり、食事などで作られたATPを消費して安静時に再びクレアチンリン酸となってエネルギー貯蔵物質としてスタンバイします。

さて、筋肉とエネルギーの動きはわかりましたが、肝心のクレアチニンはどこに関係してくるのでしょうか。

ATPが必要になった時にクレアチンリン酸からリン酸が1つ外れてADPをATPにするときに、じつは一部だけクレアチンにならずにクレアチニンになります。(クレアチンにならなかった分は肝臓でクレアチンが生成されて筋肉中に補充されます)

クレアチニンは生体内における役割を持たず、ただ尿中に排泄されるだけの物質ですので、クレアチンリン酸の老廃物と解釈できます。

クレアチニンの代謝経路

しかも毎日ほぼ一定量がクレアチニンになりそのほぼすべてが尿中に排泄されますので、腎機能が障害されると血中に停滞しクレアチニン値は高値になります。

ですので腎機能評価に有用なのです。

ただし、クレアチニンは筋運動に由来した物質ですので、筋肉の量によって生成されるクレアチン量は違ってきます

すなわち個体差がかなりあるということになりますので、クレアチニン値が高値だからと言って腎機能が悪いとは直結しないこともあります

あくまで健常者の95%が値する範囲が基準範囲ですので、ゴリマッチョだと高値になったり、寝たきりで筋肉量が異常に減少していたりすると低値になったりもします。

とはいえ筋肉量による変動は小さいですので、クレアチニン値が微妙に高値ぐらいに限り腎機能障害だけでなく筋肉量を気にすると良いでしょう。

【クレアチニン(CRE)】の基準範囲

クレアチニンの基準範囲には性差があり、以下のようになります。

男性:0.61 mg/dL ~ 1.04 mg/dL

女性:0.47 mg/dL ~ 0.79 mg/dL

※基準範囲は施設や文献によって多少前後します。これはそれぞれの機関がそれぞれの条件で、それぞれの母集団から得られたデータから導き出したものを使用しているためであり、多少バラつきがあります。

【クレアチニン(CRE)】の臨床的意義

なぜクレアチニンを検査するのでしょうか。

それは腎機能評価をするためです。

筋運動の代謝産物として産生されたクレアチニンは、生体内での役割はないため、そのほぼすべてが腎臓から尿として排泄されます。

ですので、血中のクレアチニン値が高いということは腎機能が障害されていることになりますので、腎機能評価の指標になるわけです。

しかし先ほども述べましたが、筋肉量に多少依存してしまう検査項目ですのでマッチョでは高値になる傾向があります。

高齢者と20代の若者を比べると、筋肉量が違いますので若者の方がクレアチニン値が高値になりますし、女性より男性の方が高値になる傾向もあります。

ということで、どうしても個人差が出てしまう検査項目であることは否めません。

そこでクレアチニンにはクレアチニン値を利用した腎機能検査があり、「eGFR」、「24時間Ccr(クレアチニンクリアランス)」あたりがメジャーです。

次にその2つの腎機能検査についてそれぞれみていきましょう。

eGFR(イージーエフアール)とは「糸球体濾過値」を表わしており、腎臓の中にある糸球体が1分間にどれだけの血液を濾過して尿を生成できるかを示します。

このeGFRという検査は計算項目であり、「クレアチニン値」、「性別」、「年齢」の3つを公式に当てはめることで、クレアチニン値より正確に腎機能を評価することができる大変有用な検査項目であります。

【eGFRの計算式】

  • 男性:eGFR(ml/分/1.7㎡)= 194 × 血清クレアチニン値(mg/dL)-1.094 × 年齢(歳)-0.287
  • 女性:eGFR(ml/分/1.7㎡)= 194 × 血清クレアチニン値(mg/dL)-1.094 × 年齢(歳)-0.287 × 0.739

ちなみにeGFRの基準範囲は60以上です。

eGFRの主要目的は「CKD(慢性腎障害)の重症度分類」です。

CKDの重症度分類を簡単に示しておきますので以下をどうぞ。

  • グレード1:eGFR90以上

    正常または高値。

  • グレード2:eGFR60~90

    正常または軽度腎機能低下。

  • グレード3a:eGFR45~60

    軽度または中等度腎機能低下。CKD疑いになるのはここからです。健康診断などで判明した場合は早めに医療機関を受診しましょう。

  • グレード3b:eGFR30~45

    中等度または高度腎機能低下。CKDが強く疑われるレベルです。すぐに医療機関を受診しましょう。

  • グレード4:eGFR15~30

    高度腎機能低下。CKDであり、その腎機能低下によって身体に様々な異常が発生するレベルです。

  • グレード5:eGFR15以下

    末期腎不全。透析療法適応かその直前のレベルです。放っておくと身体中に老廃物が貯まり死に至ります。

現在の医療現場では、クレアチニンを測定すると自動的にeGFRが計算される仕組みになっていますので、検査結果にも必ずと言っていいほど記載があるはずです。

腎機能検査では最もベーシックな検査項目と言っても良いでしょう。

そんなeGFRですが、これまで解説してきたのは「標準化eGFR」と呼ばれるもので、前述した通り「CKDの重症度分類」に使用されるものであり、どんな患者でも一律に判定するために体表面積を一定に補正(標準体表面積として1.73㎡を乗じる)した計算式です。

これとは別に「個別eGFR」というものがあり、身長はどのくらいあるのか、やせ型なのか肥満なのか体表面積をしっかりと算出して計算する方法もあります。

どこで使用するのかといいますと、薬剤処方を行う場合に体格も加味して腎機能を知らなければならない時に使用します。

このような場合には標準化eGFRの計算式に「身長」と「体重」を追加した、「体表面積で補正する式」を使用します。

【体表面積で補正する式】 ※DuBois式

個別eGFR(mL/min) = eGFR(ml/分/1.7㎡) × (体重kg0.425 × 身長cm0.725 × 0.007184) ÷ 1.73

最後に大切なので繰り返しますが、普段医療現場で飛び交っている「eGFR」という言葉は「標準化eGFR」のことであり、体表面積を一定値(標準体表面積として1.73㎡を乗じて)補正した計算式です。

この計算式にてCKD(慢性腎臓病)の重症度を分類しています

24時間Ccr(クレアチニンクリアランス)とは、eGFRと同じく糸球体濾過機能を見る検査で、こちらは手間はかかりますがより正確に腎機能を把握することができます。

24時間Ccrは「畜尿」が必要であり、24時間の尿をすべて貯めたものから尿中クレアチニン値を測定し、さらに採血した血液から血清クレアチン値を測定し、年齢、性別、体重からどのくらい糸球体が濾過できているのかを調べる検査です。

畜尿は24時間分の尿をすべて採取しなければならないので大変ですが、蓄尿することで1分当たりに糸球体で濾過されるクレアチニン量を正確に把握することができます。

手技の煩雑さと手間の問題から現在ではeGFRが主流となっており、患者の状態に応じて24時間Ccrを実施します。

【クレアチニンクリアランス計算式】 ※Cockcroft-Gault式

  • 男性:Ccr(mL/min) = {(140 - 年齢) × 体重kg} ÷ {72 × 血清クレアチニン値}
  • 女性:Ccr(mL/min) = {(140 - 年齢) × 体重kg} ÷ {72 × 血清クレアチニン値} × 0.85
    ※女性は男性に比べて筋肉量が少ないため、0.85を乗ずる。

基準範囲としては60~120 ml/minとなります。

ちなみに、腎機能を評価する検査のゴールドスタンダード(標準検査)は「イヌリンクリアランス」という検査です。

イヌリンは生体内において分解されることがなく、糸球体では水と同様にろ過され、尿細管から分泌されることも再吸収されることもありません。

したがってイヌリンクリアランスはほぼ糸球体濾過量をダイレクトに反映すると考えて良いので、腎機能評価において非常に優れた検査といえます。

ただし、イヌリンは生体内には存在しないものですので投与する必要があり、また手技も煩雑なため現場ではほとんど行われていません。

また腎機能評価にはクレアチニンだけでなく他の検査項目と組み合わせて行うわけですが、例えば尿素窒素(UN)も検査することが多いです。

尿素窒素については下記のブログで解説していますので、併せてどうぞ。

尿素窒素(UN)について一般の方が見ても、臨床検査技師が見ても有益となるように網羅的にどこよりもわかりやすく解説します。実務で携わっているからこそよりリアルで、より詳しく解説できます。ここで得た知識をぜひまわりの方々に語りドヤ顔してくださいね。

【クレアチニン(CRE)】が高値を示す状態・疾患

クレアチニンが高値を示す異常でない状態としては、マッチョなどの筋肉量が多い人です。

前述しましたが、筋肉量が多いとクレアチンの量も多いため、その代謝産物であるクレアチニンも必然的に高くなります

次にクレアチニンが高値を示す疾患としては各種腎疾患が挙げられます。

CKD(慢性腎臓病)、急性腎臓病、糸球体腎炎、腎不全、尿毒症などですね。

また、心不全でもクレアチニンは高値になります。

心不全が起きると各種臓器に送り出す血液量が少なくなりますので、腎臓に送られる血液量も減り結果尿の生成量も減ります。

そうなりますとクレアチニンを尿中に排泄しにくくなりますので、血液中のクレアチニン値が上昇します。

末端肥大症や巨人症の人ですと筋肉量が健常人より多くなりますので、こちらの場合もクレアチニン値が高値となります。

【クレアチニン(CRE)】が低値を示す状態・疾患

クレアチニンが低値を示す状態としては、寝たきりなどで筋肉量が低下していると低値になることがあります。

クレアチニンが低値を示す疾患としては、尿崩症や筋ジストロフィー、肝機能障害などが挙げられます。

尿崩症では多尿になりますので、クレアチニンが過剰に尿中に排泄されるため低値となります。

筋ジストロフィーでは、筋力が低下しますのでクレアチンならびにクレアチニンも低くなります。

肝機能が低下するとクレアチンの生成能力が低下しますので、必然的にクレアチニン値も低くなります。

【クレアチニン(CRE)】の生理的変動

筋肉量的に女性より男性の方が高値となり、幼児では成人に比べてクレアチニン値は低いですが、成人に近づくにつれて徐々に上昇します。

【クレアチニン(CRE)】の検査について ※臨床検査技師向け

クレアチニンについてはこれまでの解説で一通り済みましたので、次からはクレアチニンの検査について臨床検査技師向けに専門的な知識や検査に影響を及ぼす要因について解説していきます。

一般の方でも知見を広げる意味で、ご興味があればどうぞ!

クレアチニンの主な測定法は酵素法です。

酵素法にもいくつか種類がありますが、今回はメジャーな測定法である「クレアチニナーゼを使用した比色法」をご紹介します。

試薬中に含まれるクレアチニナーゼの作用により、検体中のクレアチニンはクレアチンになります。

このクレアチンはクレアナーゼの作用によりザルコシンと尿素に分解されます。

さらにザルコシンはザルコシンオキシダーゼの作用によりグリシン、ホルムアルデヒドそして過酸化水素(H2O2)に分解されます。

この生成した過酸化水素は、ペルオキシダーゼ(POD)の作用によりHMMPS(N-(3-スルホプロピル)-3-メトキシ-5-メチルアニリン)と4-AA(4-アミノアンチピリン)とを定量的に酸化縮合し、青色の色素を呈します。

この青色の吸光度を測定することにより試料中のクレアチニン濃度を求めます。

溶血、乳び、黄疸による色の影響、測定に干渉する物質等は特にありません。

【クレアチニン(CRE)】のまとめ ※さくっとまとめて見れる一覧表付き

ここまでクレアチニンについて1つ1つ網羅的に解説してきましたので、あとはみなさんがご自身のメモリ(脳)にインプットするだけです。

インプットしたら今度はアウトプットしましょう。

周りの方々に最高のドヤ顔で語っていただき、知識をばら撒くと同時にご自身の理解度確認も行ってみてください。

忘れている、理解できていなかったところがあればまたこのブログに戻ってきて、もう一度熟読してみてください。

足りないことがあれば、ぜひお気軽に僕にご連絡ください。

Twitterからでもお問い合わせからでも何でも良いです。

答えをお返しすると同時に必要であればブログに追記しますので、次に閲覧される方々にさらなる情報をばら撒くことができるようになります。

ぜひともご協力いただければ嬉しいです!

また、さくっと確認したいときにまとめて見れる一覧表を下に作成しました。

ぜひご活用ください。

【クレアチニン(CRE)】まとめ
クレアチニンとは 筋運動の代謝産物であり、クレアチンリン酸からクレアチンを生成するときの老廃物
役割 生体内における役割はない
臨床的意義 腎機能評価の指標
基準範囲 男性:0.61mg/dL ~ 1.04mg/dL
女性:0.47mg/dL ~ 0.79mg/dL
測定法 酵素法
高値を示す状態・疾患 筋肉量が多い人、CKDなどの腎機能障害系、心不全
低値を示す状態・疾患 筋肉量が少ない人、尿崩症、筋ジストロフィー、肝機能障害
生理的変動 男性>女性、成人>幼児
干渉物質 特になし

最後に臨床検査技師のみなさん、今の年収には満足していますか?

次のブログでは臨床検査技師における稼ぎ方をご紹介しています。

現役臨床検査技師で「稼ぎたい」と思っている方、とても多いのではないでしょうか。給与は多いに越したことはないですし、平均年収で満足している方も少ないでしょう。そこで臨床検査技師歴15年でIT業界にも知見のある僕が臨床検査技師の稼ぎ方について解説します。稼ぎたい人、少しでも年収を増やしたい方は必見です。

このブログがみなさまのお役に立てれば幸いです。

最後まで、ご閲覧いただきありがとうございました。

関連ブログのご案内

プール血清は何故精度管理に用いられるのでしょうか。昔からの風習で使っているから?それは理由になっていません。このブログではプール血清を精度管理に使用する理由と、そもそもプール血清とは何なのかについて解説します。プール血清についてよく知らない人、精度管理に携わる人は必見です。

プール血清を作っている施設は多いと思いますが、そもそも本当にプール血清を作る必要はあるのでしょうか。このブログでは僕なりの結論とその理由をお話します。またプール血清についてまったくわからない人のために、プール血清の役割や存在意義も解説します。臨床化学を担当している人には絶対に読んでほしい内容です。

アルブミン(ALB)について一般の方が見ても、臨床検査技師が見ても有益となるように網羅的にどこよりもわかりやすく解説します。実務で携わっているからこそよりリアルで、より詳しく解説できます。ここで得た知識をぜひまわりの方々に語りドヤ顔してくださいね。

TOPへ戻る