【臨床検査】総蛋白(TP)について現役臨床検査技師が徹底解説します

みなさんこんにちは!

「Webサイトエンジニア」×「臨床検査技師」のハイブリットおじさんこと、ウエノです。

Webサイトエンジニアではありますが、現役で臨床検査技師を15年しています。

今回は検査でよく測定される「総蛋白(TP)」について徹底解説します。

このブログは一般の方が見ても、同業の臨床検査技師が見ても有益となるように、わかりやすくも専門的な知識を散りばめ「超勉強になった!」と感じてもらえることを目的に設計しています。

そしてみなさんがこのブログで得た知識を周りの方々に語り、ドヤ顔をしてもらえれば本望であり、ブログを書いている僕としてもこの上なく嬉しいです。

では、総蛋白について解説していきます。どうぞっ!

【総蛋白(TP)】とは

総蛋白とは、血液中の蛋白質の総量を示します。

主な成分はアルブミンであり、総蛋白の約7割を占めています。

残りの3割は免疫で活躍するIgGやIgMが属するグロブリンが主成分となります。

ですので総蛋白の検査とは、アルブミンとグロブリンの総量を測定していると言え、総蛋白の増減はアルブミンとグロブリンの増減を示しているとなります。

決して「総蛋白」という物質を測定しているわけではありませんのでご注意ください。

総蛋白は身体の中で何をしているのか、という機能面としても、やはりアルブミンやグロブリンそれぞれの機能に帰属しますので、総蛋白特有の機能というのはありません。

総蛋白を検査して「高い」となったら、患者さんが脱水状態でなければまずグロブリンの増加が疑われます。

アルブミンの増加は考えないのか、と思うかもしれませんが血液中のアルブミンの増加、すなわち産生の異常亢進(作りすぎること)や異常停滞(消費されないで残存しすぎてしまうこと)はほぼ起きませんので、基本的には総蛋白が高値になった場合はグロブリンの増加を考えてもらえれば大丈夫です。

グロブリンの増加で総蛋白が軽度高値になることは様々ありますが、明らかに「高い」と目に見える状態になるのは、主にグロブリン系の異常な産生亢進が挙げられます。

特に多発性骨髄腫や原発性マクログロブリン血症という血液疾患では、とにかくM蛋白というグロブリンを作り続けますので顕著に増加します。

場合にもよりますが、総蛋白の基準範囲が「6.7g/dL ~ 8.3g/dL」に対してプラス2g/dLくらい増加することもあります。

検査技師向けにより深堀りしておくと、M蛋白は血清蛋白分画検査(電気泳動法)ではγ分画に泳動され、M蛋白型(アルブミン分画とγ分画が高い泳動図)を示します。

さらに精査として免疫電気泳動法を用いてどこに沈降線が現れのかを検査し、M蛋白の型判定を行います。

その型判定が疾患の特定に大いに役立つこととなりますので、覚えておくと良いのではないでしょうか。

脱水の話がでてきましたので少し脱水が起きた場合を解説しておくと、脱水が起きると体内の水分量が減少し、血液中の水分量の割合も減少します。

となると、血液は水分(蛋白成分やグルコースなどの各種成分を含む)と血球細胞でほとんどできていますので、水分の割合が減るとその分血球細胞の割合が増加します。

この状態で検査すると、水分が濃縮された状態になりますので普段より各種検査データが高くなります。

ですので、病態とは関係なく脱水として検査データが変動しますのでそのように解釈する必要があり、総蛋白が「高い」は蛋白成分の純粋な増加ではないこともあります。

激しい下痢や嘔吐を繰り返すと、脱水になることもしばしばありますので要注意ですね。

次に総蛋白の「低い」についてですが、ほぼアルブミンの減少を考えてもらえれば大丈夫です。

先にもありましたが総蛋白の約7割がアルブミンであり、アルブミンは身体の影響を受けやすく変動の激しい物質ですので、アルブミンが減少すると顕著に総蛋白も低くなります。

残りの3割のグロブリンについては、減少しても変動が小さくアルブミンが減少しているケースの方が圧倒的に多いので、基本的に総蛋白の低下はアルブミンの減少を考えます。

アルブミンの減少には、栄養不良肝機能障害による蛋白合成低下蛋白成分の漏出の3つが主に挙げられます。

アルブミンは栄養状態の指標になり、高齢などでの食事摂取量の減少、疾患によるの食事制限・接種不良・食事なしの点滴生活などで低栄養状態となりますと減少し、それに伴い総蛋白も低下します。

また、肝機能障害による蛋白合成低下でいえば、アルブミンは肝臓で合成されますが肝硬変などで著しく肝機能が低下するとアルブミン合成能も同じように低下し、その結果アルブミンが減少し総蛋白も低下します。

蛋白成分の漏出については、代表的な疾患に「ネフローゼ症候群」という腎臓の疾患があり、特徴として尿中に蛋白が流出してしまうためアルブミンも例外なく流出してしまい、いうまでもなくアルブミンが減少するので総蛋白も低下します。

他にも病的ではありませんが、出血すると蛋白成分が血液と一緒に流れ出てしまうため、出血の伴う手術の後では出血量が多いほど総蛋白、アルブミン共に低くなります。

【総蛋白(TP)】の基準範囲

総蛋白の基準範囲は6.7g/dL ~ 8.3g/dLです。

総蛋白には性差はありませんので、男女共通の基準範囲となります。

※基準範囲は施設や文献によって多少前後します。これはそれぞれの機関がそれぞれの条件で、それぞれの母集団から得られたデータから導き出したものを使用しているためであり、多少バラつきがあります。

【総蛋白(TP)】の臨床的意義

なぜ総蛋白を検査するのか。

それは大まかにいえば「全身状態の把握」です。

詳しく見ていくと、

  • 栄養状態はどうか。
  • 脱水は起きていないか。
  • 肝臓の機能状態はどうか。
  • 蛋白の漏出や喪失(出血など)が起きていないか。
  • 異常なグロブリンの増加は起きていないか。

です。

総蛋白の臨床的意義は、特定の臓器に問題がないかというよりは、このように全身状態の把握のために検査されていることが多いです。

【総蛋白(TP)】が高値を示す状態・疾患

総蛋白が高値を示すのは、基本的には「グロブリンの増加」です。

これまでにいくつかご紹介してきましたが、それも含めて改めて見ていきましょう。

  • 多発性骨髄腫、マクログロブリン血症

    免疫グロブリンを産生する形質細胞(Bリンパ球が分化したもの)が腫瘍性に増加し、M蛋白と呼ばれる種類的には免疫グロブリンに大別されるものが異常に産生されて総蛋白値も高くなります。もっと詳しくいうと、免疫グロブリンは本来感染症と闘うのが役目ですが、多発性骨髄腫やマクログロブリン血症においての形質細胞は、そんな免疫グロブリンを産生するのではなく、感染症と闘うのに役に立たない「M蛋白」というものをたくさん産生してしまうのが特徴です。

  • 脱水症(嘔吐、下痢、熱射病、熱傷など)

    血液が濃縮されるために総蛋白がみかけ上高い値となりますが、実際は増加していないので注意してください。

  • 慢性肝炎

    免疫グロブリンの産生亢進によって総蛋白が高くなります。

  • 感染症

    細菌やウイルスによる感染を起こすと、体内では防御反応として抗体(免疫グロブリン)が産生されますので、総蛋白も高くなります。

【総蛋白(TP)】が低値を示す状態・疾患

総蛋白が低値を示すのは、基本的には「アルブミンの減少」です。

こちらもいくつかご紹介してきましたが、それも含めて改めて見ていきましょう。

  • 低栄養状態

    高齢、ダイエット、何らかの疾患による食事制限や食事の摂取量の不足によって、アルブミンの原料となる蛋白質が不足して作られる量も減少してしまいます。このような低栄養状態になりますと、アルブミンの減少に伴い総蛋白も低値となります。

  • 肝機能障害

    肝硬変や肝癌では、肝機能低下に伴いアルブミン合成能力も低下します。そうなるとアルブミンが減少しますので、総蛋白も同じように低値になります。

  • ネフローゼ症候群、蛋白漏出性胃腸症

    血液中のアルブミンが、ネフローゼ症候群では尿中に、蛋白漏出性胃腸症では消化管内腔にアルブミンが漏出してしまいますので、血液中のアルブミンが減少し総蛋白が低値となります。

  • 出血

    血液と一緒に蛋白成分が体外に流れてしまいますので、出血量が多いほど総蛋白が低値となります。輸血が必要なくらいの大量出血を伴う手術の後ですと顕著に低値となります。

【総蛋白(TP)】の生理的変動

体位によって変動しますので注意してください。

体内の水分の移動によるものですが、立っている状態(立位)では寝ている状態(臥位)より0.5~1.0g/dL高くなります。

ですので、ベッドで横になったまま採血をすると総蛋白がやや低くなりますので、病棟の患者さんではこの影響を受けやすいでしょう。

年齢に関していえば、新生児では成人より約1.5g/dL低く、加齢と共に増加して中学生あたり(13~14歳)で成人の域に達します。

高齢になりますと、食事の摂取量の低下、肝臓での合成能の低下によって低下傾向を示すことが多いです。

【総蛋白(TP)】の検査について ※臨床検査技師向け

総蛋白についてはこれまでの解説で一通り済みましたので、次からは総蛋白の検査について臨床検査技師向けに専門的な知識や検査に影響を及ぼす要因について解説していきます。

一般の方でも知見を広げる意味で、ご興味があればどうぞ!

総蛋白の主な測定法は「ビウレット法」です。

どこの施設でも、今も昔もほぼこのビウレット法で測定しています。

昔はビウレット法には1試薬系しかありませんでしたが、現在では2試薬系も販売されていますので、もし1試薬系を使用しているなら2試薬系に変更することをおすすめします。

ちなみに1試薬系とか2試薬系とか何のことかわからないという方のために解説しておくと、1試薬系というのは第1(R-1)試薬のみ、要は呈色液(反応液)のみのタイプのことであり、2試薬系というのは第1(R-1)試薬と第2(R-2)試薬に分かれ、緩衝液または前処理液と呈色液(反応液)を別にした試薬をいいます。

試薬のラインナップに2試薬系の試薬があれば、必ず2試薬系の試薬を選びましょう。

なぜなら1試薬系だと試薬盲検を対照にするため検体に色味が付いていると影響を与えてしましますが、2試薬系では第1試薬に検体を混ぜた状態を盲検としますので、検体の色味の影響を受けにくくするからです。

要は溶血や乳び、黄疸の影響を抑えることができるのです。

1試薬系よりは2試薬系の方がお値段が割高ですが、患者さんのデータをより真値に近い状態で返すことを考えればこれは必要経費でしょう。

化学屋の僕としては、絶対的に2試薬系を採用していただきたいものです。

次にビウレット法の原理について解説します。

ビウレット反応とは、アルカリ性条件下で3つ以上のアミノ酸からなるペプチド(蛋白)が2価の銅イオンとビウレット型キレート化合物(錯体)を形成することによって、赤紫色から青紫色に呈色する反応のことをいいます。

発色の強さは蛋白の濃度の高さ(ペプチド結合の多さ)に依存しますので、この色の濃さを吸光度で測定することで、検体中の総蛋白の濃度を知ることができます。

溶血、乳び、黄疸による色の影響、測定に干渉する物質等は特にありません。

ただし、生理的変動の項でも解説したように体位の変動がありますので、臥位での採血時は立位に比べて0.5g/dL~1.0g/dL程度低くなりますので注意してください。

最近ではあまり見かけませんが、通常であれば生化学は分離剤入りの採血管で検査を行いますが、まれにヘパリン管で検査を行う施設もあります。

微々たる差かもしれませんが、じつは0.2g/dLほどヘパリン管の方が総蛋白は高くなります。

それはなぜか。

ヘパリン菅は血液を凝固させないで検査をしていますが、分離剤入りの採血管は1度凝固させ遠心機にかけてから検査を行います。

総蛋白の中には血液凝固に関係する「フィブリノゲン」という蛋白も含まれており、分離剤入りの場合は1度凝固させていますのでフィブリノゲンが消費された状態になります。

一方、ヘパリン管は凝固させないで検査する採血管ですので、無論フィブリノゲンは消費されていない状態になります。

この理由によって総蛋白の総量が変わり、微々たる差ですがヘパリン菅の方が総蛋白が高くなるのです。

これはよく実習などで行う「採血管による検査データの違い」でよく見られる現象ですので、知っておくと良いですよ。

【総蛋白(TP)】のまとめ ※さくっとまとめて見れる一覧表付き

ここまで総蛋白について1つ1つ網羅的に解説してきましたので、あとはみなさんがご自身のメモリ(脳)にインプットするだけです。

インプットしたら今度はアウトプットしましょう。

周りの方々に最高のドヤ顔で語っていただき、知識をばら撒くと同時にご自身の理解度確認も行ってみてください。

忘れている、理解できていなかったところがあればまたこのブログに戻ってきて、もう一度熟読してみてください。

足りないことがあれば、ぜひお気軽に僕にご連絡ください。

Twitterからでもお問い合わせからでも何でも良いです。

答えをお返しすると同時に必要であればブログに追記しますので、次に閲覧される方々にさらなる情報をばら撒くことができるようになります。

ぜひともご協力いただければ嬉しいです!

また、さくっと確認したいときにまとめて見れる一覧表を下に作成しました。

ぜひご活用ください。

【総蛋白(TP)】まとめ
総蛋白とは アルブミン7割+グロブリン3割の総称
役割 アルブミンとグロブリンのそれぞれの役割に帰属
臨床的意義 全身状態の把握
基準範囲 6.7g/dL ~ 8.3g/dL
測定法 ビウレット法
高値を示す状態・疾患 グロブリンが増加する状態(多発性骨髄腫、マクログロブリン血症、慢性肝炎、感染症)、脱水
低値を示す状態・疾患 アルブミンが減少する状態(低栄養状態、肝硬変などの肝機能障害、ネフローゼ症候群、蛋白漏出性胃腸症)、出血
生理的変動 体内の水分の移動によって立位では臥位より0.5~1.0g/dL高値 ※寝て採血注意!
干渉物質 特になし

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このブログがみなさまのお役に立てれば幸いです。

最後まで、ご閲覧いただきありがとうございました。

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