1. 「AI」の進化によって臨床検査技師はどうなるのか
まずは「AI」の進化によって臨床検査技師はどうなっていくのかを解説します。
すでに業界大手の検査センターでは、定点固定型のロボットが検体を仕分けしていたり、段差がない床であれば動き回れるロボットで検体を搬送したりと、少しずつAIに業務を割り当て始めています。
今後は天井を這うロボットを開発して、地上のスペースを犯さないで省スペース化を目指したい、というお話も伺っています。
現在のテクノロジーレベルではまだいかにもなロボットですが、2030年代にはまるで人間のような自立2足歩行型ロボットが闊歩していてもおかしくはないでしょう。
その自立2足歩行型ロボットをどのうような名称で呼ばれるのかはわかりませんが、おそらくは「アンドロイド」か「ヒューマノイド」でしょう。※このサイトでは以降「ヒューマノイド」と呼びます
そのヒューマノイドが何をしてくれるのかというと、検体搬送から検体測定はもちろんのこと、ゆくゆくはエコー検査をすることもできるでしょう。
プローブ操作に必要な滑らかな手の動きは実現できているでしょうし、目にセンサーを仕込めば暗闇でも標的臓器に的確にプローブをあてて画像をとることもできるでしょう。
なんなら、MRIのような巨大な筒に入ればエコーもとれてしまう、というような機械も開発されるのではないかとも思います。
採血もヒューマノイドの活躍できる分野です。
現在でも「血管可視化装置」というものが販売されており、ヒューマノイドの目にそのようなセンサーを埋め込んでおけば血管を逃すことなく穿刺できますよね。
ですので、たいていのことはヒューマノイドが人間の代わりに受け持つことができますので、臨床検査技師の採用人数は大幅にカットされるでしょう。
しかし、中には「例外」というものがあり、採血でも血管が細すぎる人や逃げやすい人などはもしかしたら人間がやらないと難しいこともあるでしょうし、精度管理は経験則だったり、対応のアルゴリズム開発が難しいと思いますので、しばらくは人手に頼ることも多いかもしれません。
ただ例外の為には最低人数しか割きませんので、一握りの精鋭がいれば事足りてしまいます。
具体的な数字でいえば、規模や業務内容にもよりますが中小病院で2~4人、総合病院で3人~6人、大学病院でも5人~10人くらいの臨床検査技師がいれば十分でしょう。
AIが進化すればするほどより必要とされる臨床検査技師の数も少なくなりますが、だいたいこのくらいの数で落ち着くはずです。
これはまず、誰しもが想像に難しくない状況かと思いますが、実際に自分で思い描いてみるのとないのとではリアリティが違いますので、一度は考えてみることをおすすめします。
そうすることで、今自分が現場でどういうことをしておいた方が生き残りやすいのか、ということが見えてくるのではないでしょうか。
本当にAIが闊歩する時代なんてくるのかよ、と思う人もいると思いますが、テクノロジーの進歩は誰にも止められず、技術的成長曲線からも大きくは外れていないはずです。
必ず、AIが闊歩する時代はやってきます。
ガラケーを誰もが当たり前のように使っていた時代に、いきなり全面タッチ画面でこれまでの常識を覆したiPhoneのように、必ず変換期はやってきます。
その世界でみなさんはどう生きますか?
ということで、「AI」の進化によって臨床検査技師はどうなるのかという問いに対しての回答は、「ヒューマノイドが現在のほとんどの臨床検査技師の仕事を受け持ってくれるが、例外の対応の為に一握りの臨床検査技師が必要とされる」となります。
ウエノ