1. 【マグネシウム(Mg)】とは
マグネシウム(Mg)とはカルシウム、リンに次いで3番目に多いミネラル成分であり、その60%ほどが骨に存在しています。
カルシウムとリンは骨中ではヒドロキシアパタイトを形成し骨の強度に関与していますが、マグネシウムはこのハイドロキシアパタイトの結晶構造においてカルシウム吸収のバランスを調整し、骨の強度と柔軟性制御に関与しています。
マグネシウムに関連性が高いカルシウムと無機リンについては以下のブログで解説していますので、もしまだであれば併せてどうぞ。
カルシウム(Ca)について一般の方が見ても、臨床検査技師が見ても有益となるように網羅的にどこよりもわかりやすく解説します。実務で携わっているからこそよりリアルで、より詳しく解説できます。ここで得た知識をぜひまわりの方々に語りドヤ顔してくださいね。
無機リン(IP)について一般の方が見ても、臨床検査技師が見ても有益となるように網羅的にどこよりもわかりやすく解説します。実務で携わっているからこそよりリアルで、より詳しく解説できます。ここで得た知識をぜひまわりの方々に語りドヤ顔してくださいね。
マグネシウムはカルシウムと無機リンと同じような代謝経路を取り、食事から摂取されて小腸で活性型ビタミンDのサポートによって吸収されます。
そして過剰分の2/3は糞便中に、残りの1/3は腎臓から尿中に排泄され、そのうち90%は尿細管にて再吸収されます。
再吸収でいえば、小腸で吸収されなかった分は大腸に運ばれ糞便中に排泄されるわけですが、10%くらいは再吸収されます。
マグネシウムの摂取量などが低下し血中マグネシウム濃度が低くなると、カルシウムや無機リンのように骨から溶け出し血中に補充されます。
マグネシウムの働きは主に前述した骨関連ですが、その他にも補酵素としてまたは活性中心として300種類以上の酵素の働きに関与していたり、筋肉の収縮に関与していたりと様々なところで活躍しています。
そんな多彩な働きを担うマグネシウムですので、不足したり、過剰になってしまうと何かと身体に不都合が生じます。
例えば、血中マグネシウム濃度が低下すると骨を溶かして血中に供給しますので、その分骨が脆くなり骨粗鬆症のリスクが高くなったり、筋肉の収縮が上手くいかなくなりテタニー(痙攣)や心疾患を起こしたりとその影響は甚大です。
逆に血中マグネシウム濃度が高くなるとどんなことが起きるのか。
こちらもやはり心疾患、特に心停止を引き起こすことがあります。
マグネシウムは筋肉の収縮に関連深くそれは心筋でも例外ではなく、心臓のリズムの維持に重要であって不足しても過剰に存在していてもそのバランスが崩れるため心機能に大きな影響を及ぼします。
ところで、ダイエットや便秘などに効果があるといわれて市販されている「にがり」の主成分は塩化マグネシウムであり、過剰に摂取すると下痢を起こすことはご存知でしょうか。
マグネシウムには腸管の筋肉の収縮や運動性を調節する働きもあり、過剰なマグネシウム摂取は腸管の運動性を亢進させ、腸の内容物が速く蠕動することで排便が促進されます。
この結果、腸内の食物や水分が通過する時間が短くなり下痢を起こすことがあります。
しかしながら適量ならば排便を促進する効果がありますので、よく便秘薬に利用されています。
機会があれば成分を確認してみてください。
またマグネシウムは運動時やプールなどで「足がつった」時や「こむら返り」の時にも関与しています。
こむら返りというのは、「ふくらはぎ」を「腓(こむら)」といい、この部分がつった時をいいます。
この現象は発汗によってマグネシウムが多く失われた時に筋収縮に必要な成分のバランスが崩れるために起きます。
その筋収縮に必要な成分と言うのが「マグネシウム」と「カルシウム」なのです。
具体的には、マグネシウムは筋肉を弛緩、カルシウムは逆に収縮させる働きをします。
マグネシウムは発汗によってカルシウムよりも多く失われ、筋収縮が過剰に起きるために足がつったり、こむら返りが起きるのです。
ですので、足がつったりこむら返りが起きたら「マグネシウムが足りていない」ということを思い出してくださいね。