4. 【まとめ】ピペットを正しく扱えてこそ臨床検査技師である
ピペットは臨床検査技師のマストアイテムではありますが、学校でも正しいピペット操作については教えてもらえていないのではないでしょうか。
まず僕が出会った中でピペット操作がしっかりとできていた検査技師はほとんどいません。
ピペットは精度管理物質などを溶解させるのに使用する大事なアイテムですので、正しいピペット操作ができてないと精度管理も不安定となります。
また希釈操作の場合でいえば、ほとんどの検査技師はいきなりチップで吸い上げて先端外側をキムワイプでふき取り、溶液にチップを突っ込み何度も出し入れして共洗いする、というように誤差でまくりの方法で行い測定しています。
今回は希釈操作のように「溶液を混ぜる」という動作はありませんが、必要であれば混和は「共洗い」ではなくミキサーで行うのが適切です。
吸い上げる際に3回出し入れしてチップに溶液を馴染ませているので共洗いが必要なく、チップ先端に付着した溶液をキムワイプでふき取る動作もチップ内部の溶液を吸ってしまう恐れがあるのでやるべきではありません。
わざわざふき取らなくても液面に付けないで排出すれば誤差にならないので、なおさら共洗いはするべきではありませんね。
マストアイテムであるピペットなのにも関わらず、なかなか理解のある検査技師がいないのが残念です。
このブログで学んだみなさんなら大丈夫だと思いますので、ぜひ周りの検査技師に正しいピペット操作を教えてあげてくださいね。
そしてみなさん朗報です
ここまで読み進めていただいたみなさんだけに、ピペットにまつわる豆知識を特別に2つお教えします。
1つ目は、エッペンドルフのような正規品チップを持っているメーカーのピペット検定についてです。
正規品のチップとアジア機材などの模造品ではどちらがより正確に秤量できるでしょうか、というお話です。
やってみればわかりますが、圧倒的に正規品のチップの方が安定して目標値に近い秤量データを打ち出します。
容量が大きくなればなるほど模造品ではブレが大きくなり、1000μLあたりでも許容幅に収まらなくもなったりします。
ですのでキャリブレーターやコントロールなどの重要な管理試料物質を溶解させる場合は、なるべく正規品のチップを使うことをおすすめします。
2つ目はピペットの正確度についてです。
1000uLを分注する場合、次の内どちらのエッペンの方がより正確に1000μLを分注することができるでしょうか。
- 100uL-1000ulの容量可変ピペット
- 500uL-5000uLの容量可変ピペット
答えは2番ですね。
これもピペット検定をやってみればわかりますが、エッペンの性質上、容量が最小に近いほど正確に秤量できます。
よって1番では1000μLは最大値ですので、このエッペンでは最も不安定なポイントとなります。
2番では1000μLは容量の最小に近いため、かなり正確に秤量できます。
今は答えだけ教えますが、ぜひみなさんはピペット検定をやって自分の目で確かめてほしいと思います。
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このブログがみなさまのお役に立てれば幸いです。
最後まで、ご閲覧いただきありがとうございました。
ということで、今回は「ピペット」についてその正しい扱い方と、正確に吸い上げることができているのか確認できる「ピペット検定」の仕方について解説します。
ウエノ